ソルト(SOLT.)の青木隆行です。
前回の続きで、経営戦略立案時には、自社の強みと市場のチャンスが重なる部分を強化していく事が近道だと考えています。もちろん自社の弱みを消すことも考えなければいけませんが、それが決定的なもの(例えば極端に利益率が低いなど)でない限り、限られたリソースのなかでは一点突破・長所伸展⇒全面展開の状態が最も有効であると考えます。
不確実な時代においては経営者の読み誤りは命取りになるので複数同時で進めたいところなのですが、特に中小工務店においては多面的な戦略を立てても力が分散される可能性も高まります。だからこそ、中小工務店においては最初の強みの抽出⇒戦略の磨き上げが肝になってきます。
「現在の会社の強み」と併せて、あらためてチャンスや強みを見直し「将来強みにしていくもの」もあると思います。明確な自社の強みを理解していない場合は、今あるリソースを今後どのように活用していくかという判断を経営者自身が行っていく事になります。
経営戦略を分解してみよう
さて、経営戦略を体系的にとらえると、①階層的にとらえる「全社戦略」「事業戦略」「機能戦略」、その下に②競争面でとらえる「価格戦略」「差別化戦略」「集中戦略」などが並びます。
まず①階層的にとらえた形から、全社戦略はM&Aによる企業買収や財務・採用計画などまさに経営者判断によって全社的なもの、事業戦略はエリア拡大や価格設定など事業に関わる戦略です。
事業戦略の具体的な活動として、②の競争面でとらえる各戦略が事業を進めていくうえでは大変重要です。機能戦略の中身はマーケティング・営業・設計・工事などを推進していくものです。
経営戦略の根幹となるのが経営理念であり、全社戦略⇒事業戦略⇒機能戦略という順になります。
基本的に経営戦略を競争面でとらえる戦略としては、まず「価格戦略(コストリーダーシップ戦略)」があります。徹底したコスト削減によって価格力をつける方法です。価格戦略は資金力や規模化が必要なので一般的に中小企業には向いていないと言われていましたが、デジタル化によってこれも実現可能と考えます。
ですがこれまで同様、優先して中小工務店がとるべき戦略は「差別化戦略」「集中戦略」でしょう。つまり「模倣困難性を高める」「希少価値を高める」「エリアを限定してゲリラ的に戦う」「特定セグメントに集中しコストを抑える」といったものです。基本的にはこのような事なのですが、成熟した住宅業界において、これらを具体的に例示するとどういったものがあるでしょうか。
1.アフターメンテナンス強化⇒高付加価値化・生涯顧客化⇒エリア内シェア獲得
2.超デジタル化:業務効率化・販管費削減によるコストダウン・エリア情報の獲得など
3.エリア内での多角化M&A・業務提携による市場シェア獲得(シナジー効果の発揮)
4.価値観を共有する工務店同士の協業(設計・ICなどの業務提携)によるコストダウン
5.移動式展示場戦略・ドミナント戦略
例えばですが、自社の強みを活かしてこのような戦略が実行できると、地域工務店として継続的発展ができると思います。これらはすべてやるのではなく、自社に適した戦略を探して短期・中期・長期など時間軸に分けてまさに戦略的に進めていく事が重要です。そしてそのスピードを上げるには経営計画の立案が必要になってくると考えます。
【POINT】➡自社の強みを特定し磨き上げる
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