[第7回] 地域工務店の経営戦略の実例②「デジタル化を進める上で最初に考えるべきこと」

2021/07/3017:38280人が見ました

 ソルト(SOLT.)の青木隆行です。住宅業界でもコロナの感染拡大からデジタル化が一気に進んだ感があります。ZOOMでの打合せが一般化し、建築業界にもYoutuberが続々と生まれてきています。デジタル化を通じて大きく業績を伸ばした工務店をよく耳にするようにもなりました。

[前回] 経営戦略の実例①「アフターメンテナンス強化」

しかしデジタル化と言っても下図にあるようにジャンルは様々であり、工務店がYoutubeを始めることもデジタル化のほんの一部です。Youtubeのように表出化している事はほんの一部で、本当の意味でのデジタル化は水面下で大きく動いており、これからより一層本格化すると思います。

大きく分けてデジタル化はマーケティング業務効率化2領域から成ります。そしてこれらは項目ごとに細分化され、高い専門性を求められる部分も多いです。

以前は、例えば広告代理店がディレクター役になりホームページ制作や各種コンテンツの提案・推進をしていたのではないでしょうか。しかしこの状態では外注業者のやりたいことが優先され、目的と手法のミスマッチやコストパフォーマンスに問題が出る事が多くなります。さらに中小企業のなかには社内にデジタルの事が分かる社員がほとんどおらず、「デジタルを活用したマーケティングや基幹システムの構築」という重要な事柄を、外注業者に丸投げしてしまうというケースすら散見されます。「よく分からないから外注業者の言う事を聞いてやってみたけど、デジタル化はうまいこと進まないな~」という経営者の声を時折耳にしますが、これは非常にリスクの高い事をしていると理解してください。

まず経営者が「デジタル化とは何か」「デジタル化を通じて会社の目的をどのように達成するか」を考える事が第一歩となります。デジタル化は時代の分岐点であり、避けられるものでなく、絶対に他人任せではできません。

経営者が今すべきことは「デジタル化を理解し、自社の目的にどのように活用していくかを考える」という事に尽きます。

デジタルツールを入れたからデジタル化が成るのではないことは、皆さんすでに充分理解しているかと思います。デジタルは目的ではなくゲームチェンジの手段で、経営者はデジタルを使ってどのような効果をもたらしたいのかを明確にしておく必要があるのです。

 

[Point]⇒デジタル化はゲームチェンジの必須ツール。目的に適した進め方を。

 

  

デジタル人材の育成と外注のバランス

デジタル化の推進は外注のみに頼るのではなく、社内にも一定の人的リソースを割くこと・つまりデジタル化を推進する社員が必要となってきます。マーケティングや業務の効率化は会社の根幹をなすものであり、もはや片手間にやれる時代ではなくなっています。

工務店にとっては、デジタル人材の育成と外注のバランスが求められる。デジタル人材の平均年収は600万円とも700万円とも言われ採用難易度もかなり高いからです。

そこで中小工務店の戦略としてはデジタル人材の「育成」が必須となります。現在では一流のマーケターを講師としたオンライン講座なども充実しています。デジタル化は避けては通れないので、一刻も早く社内にデジタルチームを組成しスピードアップをする事が企業の成長のカギとなるでしょう。

もちろんすべてを内製化はできないので、デジタルリテラシーのある組織と外注業者との健全な関係性を構築し、コストの適正化や的を射た戦略進行に効果をもたらすようにするべきだと考えます。

 いまや星の数ほどのデジタルマーケティング会社やシステム・ツールがあります。これらを的確に活用し自社の目的目標の達成のために仕組みをつくり、どんなスケジュールで推進していくかが課題と言えます。

 もちろん先行者利益、つまり早い者勝ち的な要素も多く、一刻も早い全社的な取組(全社デジタル化戦略)が必要となるでしょう。

 ここは経営者のお考えひとつなので、特に決断の速さと実行力が求められます。

 

POINT経営者の戦略決断とデジタル人財育成が急務

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