[第6回] 地域工務店の「ブランドの創造」

2021/09/0217:00309人が見ました

 皆様お疲れ様です。COMODO建築工房代表の飯田です。

 5回目からしばらく月日が経ってしまい、時の移ろいの早さに驚愕しております。

 少しご案内を。既知の方もいらっしゃるかもしれませんが、新建ハウジングの「成長を続けるアーキテクトビルダーの経営と家づくりの真髄を探る」をテーマとした「若手工務店経営塾」に登壇させていただくこととなりました。今までは講演会などで1時間程度と短かったものですから、今回はディープな真髄まで掘り下げていけるかと思います。一応「若手経営者」対象ということで、40代までの工務店経営者の皆様のご参加、心よりお待ち申し上げております!

 

 閑話休題。さて、第6回目となるチカラボのテーマですが、自社のブランドを構築する「ブランドの創造」となります。前回が「既存のブランドのプロモーション」であるとするならば、今回は創造ですから、1から生み出すイメージをお持ちください。

 私自身創業者であるが故の発想なのかもしれませんが、「ブランドの創造」には、そもそもマーケットの土俵にすら上がっていない状態で、その土俵を自らの手で築くような、そんな覚悟と労力が必要となります。

 

ブランドの創造=自社マーケットの創造

 現時点における自社のマーケット市場の立ち位置は存じ上げておりますでしょうか。また意識されておりますでしょうか。まずは今の立ち位置を確認してみてください。その立ち位置は本来自分達が望んだ位置でしたでしょうか。これが納得出来ていれば苦労はないのです(苦笑

 ではどのようにしてその立ち位置へと移行するのか。

 今回するのは、そもそも移行するのではなく、自社でそのマーケットを創造しましょう!というお話。

 私個人は競争が苦手です。圧倒的独走でいたいからです(笑)マーケットだからといって大きくなくていい、ニッチでもいい、むしろニッチがいい。

 貴社の得意とする項目は何ですか?誇れるものは何ですか? うちは全然…とおっしゃらず、会社全体で探してみてください。必ず光る魅力があるはずです。

 

作風の創造

 作風をマーケットの創造にするのもいいでしょう。探してみたはいいがやはり現状維持が精一杯、そんな方も少なくありません。しかしながら私はあくまで建築屋として、誇れる技術とデザインで勝負をしたい。そんな時は自社オリジナルの作風を創造しましょう。

「簡単に言うなよ!」と野次が飛んできそうですが、意外と簡単です。「やらないことを決める、やることを決める」これだけです。これは今でも弊社は頑なに守り続けています。

 最初の一歩として始めることでおすすめなのは、使用する材料を制限してみるのはいかがでしょうか。

 

ex.

・新建材に頼らず、自然素材に移行する

・選択肢を設け、何でも出来ますからの脱却(内装材や外装材の仕様を制限する)

・お施主様からの要望から“それはやりません”と言える勇気(納得していただく)

 

 なお、やるならとことんやってください。極力……なんて甘えでは、創造は出来ません!

 工務店には非常にありがちですし、むしろそれが魅力だと思っている節がある「お客様のために精神」が、自社の建築の魅力を損なう原因になっているのかもしれませんよ?

 

デザインのキーパーソンを決める 

 次に、ではデザイン面ではどうか。

 社員さんを抱えている所帯の場合、デザインのキーパーソンはいらっしゃいますか? はっきり申し上げて、そもそも不在なことがよろしくないのですが、ブランドの創造には統一感や一過性を持たせることが重要ですので、不在ならばそこはやはり経営者の役割と私は思います。もしくはリーダーが必須です。

 選出されたデザインキーパーソンは、自分の感性に従って好きor嫌いから始めるのもいい。それなら判断できますね? そして、無理に1から生み出す必要はまるでありません。もちろん実際の建築を見て回れるのが一番ですが、建築雑誌やWEBから多くの建築を見て、好き嫌いの判断材料にするのも個人的にはおすすめです。その素材が多ければ多いほど、ご自身の目指したい方向が自ずと見えてくるかもしれませんし、社員さんにもベクトルを示せるのではないでしょうか。

 あの会社に頼めばこういう建築が望める、この建築はあの会社っぽいね、と言われるようになるまで頑張ってください。

 

自己犠牲を惜しむな!覚悟を決めろ!

 段階的に好き嫌いが明確となり、材料の選別も済んだところで、さらに一歩踏み出す勇気は自己犠牲です。つまり投資です。今いるお施主様に、これから自社のやりたいことの費用を負担させるなんざご法度。やりたいことがあるのならまず自分でその犠牲(費用)を払うこと。もちろんお施主様には説明の上ご納得いただくことが必須です。

 ではなぜ自己犠牲でなくてはならないのか。それは「覚悟が生まれる」から。住宅建築は決して実験ではなく、各々住まう家族がいる箱ですから、一度の失敗も許されない。他人様のお金で覚悟が出来ますか?ご自身の身銭を削るのですから、それはもう本気になりますよね?それが覚悟です。

 

顧客の創造

 上記がなされた時、成立した時、初めて顧客の創造ができたと言えるでしょう。会社によってはこの手順が逆でも面白いかもしれません。どのように当てはまるかは存じ上げませんが、それぞれのイメージを大切になさってください。

 ご自身はもちろんのこと、会社や社員とその家族、建築とデザイン、現在と未来……望む「あるべき姿」へと突き進む原動力は、かっこよくありたい自分のイメージです。

 

実例紹介

 弊社の作例紹介とともに、私自身の「ブランド創造」を紹介します。

 

くの字の平屋

 なかなか日の目を見ない5年目でやさぐれ始めた、10年前の案件。当初は普通の平屋をご所望された老夫婦であったが、住まい手さんの感性に魅了され、冒険を促し、折半という形でデザインフルな住宅へと昇華させていただいた。結果この作品が今も私の代表作。

 出来上がった瞬間は本当に殺風景であったけれど、どこからともなく「これでいける!」と自信が生まれた。これでも認められないのであれば建築士は返納する覚悟まであった

 

 

45°の家

 設計事務所ではなく、工務店として生きていくことを決めたタイミングの作品。工務店で威張れるのはやはり技術力で、そこにデザインを融合させれば唯一無二の存在になれることを信じ止まなかった当時。以前から憧れのあった「扇垂木」を住宅に取り入れるべく、大先輩の棟梁に教えを乞い、若手大工と目をキラキラして加工に勤しんだのを今でも忘れない。それが正解か不正解か、その評価は自身で行うものではないので存じ上げませんが、私個人としてのドヤ感は否めない。

 扇垂木にかかる費用を全て弊社で負担したけれど、結果いくらになったのかは怖くて計算していない笑

 

親子屋根の家

 作風が定まっていたものの、工務店として更なるオリジナリティを求め、店舗デザインはもちろんのこと、トータルプロデュースとして魅力を伝播したいと発起した作品。ロゴはもちろんのこと、店内の装飾や商品の見せ方、梱包方法まで幅広くプロデュースさせていただいた。建築費用は通常通りいただいたが、デザインやプロデュース費用は全額負担。おかげでそれを期待するクライアントさんが増え、個人的にやりたいことが出来る幅が広がった機会となった。

Ryo  Iida

一覧へ戻る