補助金と事業計画書の『関係改善』■しくじり先生

NEW!2021/10/2500:01549人が見ました

 

歪む『補助金ワールド』

 

 

事業再構築補助金の第3回募集締め切りが終了しました。

複数のクライアントさんがこれに挑戦されていて、ここしばらく社長は日々大変であったことと思います。

 

事業再構築補助金というのは、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援するというもので、経済産業省が実施する予算額1兆円を超える大規模な公的補助金です。

 

補助金申請に際しては当然のことながら綿密な「事業計画書」の提出が求められます。また国から認定された「認定経営革新等支援機関」と連携することが必要とされています。

 

 

「認定経営革新等支援機関」の多くは税理士や金融機関、商工会・商工会議所等が認定されていますが、新しい取り組みであることもあってか、実は彼らも申請者である企業との関わり方に苦慮している様子です。

 

 

どうしてか?といいますと、これまでの補助金の流れの影響があるようです。一部の経営者(特に補助金慣れした人達)には、補助金獲得の際の成功報酬でお商売をされているコンサルタントに丸投げしてサクッと獲得する強者も多くいらっしゃるようです。

 

経済産業省としては、「認定経営革新等支援機関」と連携することが必要としながらも、経営者が自分の頭で考え練り上げた「事業計画書」を提出して欲しいのです。至極あたりまえの事であります。今回のように巨大な予算がついている事業ならなおさらのことでしょう。

 

しかし、経営者の皆さんは「認定経営革新等支援機関」と聞くと過大に期待してしまい「丸投げ」体制で臨まれる方も多いようです。日頃の業務に追われていることもありますし、そもそも事業計画書なるものをちゃんと作ったことがない経営者が多数を占めるのが世の実態です。また、これまでの補助金はそのような「丸投げ」方式でも「審査側」の理屈に沿っていれば採択されるケースが多かったようです。しかし、今回は経済産業省の中でも「経営者の本気度」が重視されていて「丸投げ」系の申請採択をできるだけ排除したいという意向もあるそうです。「延命策」としてのばらまき型の補助金ではなく、ある意味で「見込み」のある企業に絞って傾斜配分しようという方針だからです。

 

そういった状況から「認定経営革新等支援機関」の方が「認定されていないが詳しい専門家」を補助金申請企業に紹介するというややこしい状況になっているのです。背景としては「認定機関」である税理士さんや商工会議所の担当者が、普段からお付き合いのある経営者から泣きつかれて補助金申請のお手伝いをしたものの、まさかの「不採択」で気まずくなってしまっているケースが多発しているという事情があるようです。よくよく考えますと、実は多くの「認定経営革新等支援機関」の担当者も「事業計画書」なるものをいちから書き上げたことはないのです。当然「補助金」を自力で獲得したこともありません。そこへ過度に「不正受給」的なケースを警戒している「審査側」独自の「本気度フィルタ」が働いて「丸投げ組」にとっては難関になっているようです。

 

 

 

意外にも頼れた『実体験』

 

 

少し前のこと。「実用新案登録」に挑戦、その時にご指導いただいた先輩K氏に「覚えておくといい」と言われ「補助金申請」も合わせて取り組むことになったのです。

 

この先輩K氏は「知的財産」を活かした事業構築を得意とされ、超論理的でcoolな方です。その指導たるや急所を突く「質問」と容赦ない「駄目出し」で、かなりのスパルタ系でした。強制的に自分の脳みその使ったことのない場所を「強制起動」する感じで、しばらくは何もできずに苦しむ日々でしたが徐々に色々なことが整理できてきました。お陰様で「実用新案登録」と合わせて見事「補助金申請」も一発で採択されました。

 

その先輩K氏曰く、「経営者でありながら、自分で自分の事業の未来を書き記すことができないケースは意外と多いのです。」「補助金申請というとなんとなくバカにする人もいますが、論理的に事業を組み立てるよい機会とするべきです。」「本気で取り組む事業アイデアと実行計画をつくり、さらに補助金申請が採択されて資金が交付されればなお良しではないですか。」と。

 

確かに。そのとおり。

 

先輩コンサルタントの中には、「補助金をあてにして経営するような社長はダメだ。なぜなら、補助金のペースで事業をやると、どうしてもスローになって機会損失の方が大きいからだ。」「自分のプランで説得して銀行から融資を引き出し新事業に乗り出す気概もない者が税金である補助金など使ってはダメだ。」とパッサリ斬られる剛腕”H氏もいらっしゃいます。

 

それもまた然り。

 

自らの事業展開のスピードを落とすことなく、補助金獲得ができれば理想ではありますが、現実は確かにスローです。これは、自身で「補助金申請」して「採択」され実施後に「実績報告」をしてみて、そのスピードの遅さがよく分かりました。「剛腕先輩コンサルタント」H氏はこの事をよく知っていてそう言われていたのだと、とても腑に落ちました。業界や会社という「枠」から離れてみると、想像以上に「達人」とおぼしき方がいらっしゃることを実感できるものです。

 

 

振り返ってみますと、自社の補助金の進行は以下のような時間軸でした。

 

 

2020年 5月下旬  小規模事業者持続化補助金 申請書(郵送)提出

 

2020年 7月下旬  採択者発表

 

2020年 9月上旬 「申請書類の修正・再提出のお願い」(郵送)到着

 

 

最初に届いた「申請書類の修正・再提出のお願い」 リスト化されているのに分かりにくい

 

 

2020年 9月中旬  申請書類の修正・再提出(郵送)

 

             (書面での指摘内容を電話で確認の上、再提出)

 

2020年10月中旬  申請書類の再修正・再再提出のお願い(電話)

 

2020年10月中旬  申請書類の再修正・再再提出(郵送)

 

2020年11月下旬 「交付決定通知書」(郵送)到着

 

 

申請書提出からここまで6ヶ月でようやく交付決定。対象になる事業期間は3月末までなのに、「交付決定通知書」が届いたのは11月下旬。そこから残りの事業機関は4ヶ月しかありませんでした。どうやらこんな感じが標準のようです。何事もフライング気味で走っていかないと、正式書類を待って行動していたら全く話にならない日程です。その後2021年3月までの事業機関を終え、急いで補助事業実績報告書づくりに取りかかります。

 

 

2021年 4月上旬  補助事業実績報告書提出(郵送)

 

2021年 7月下旬 「実績報告書等の提出物に係るお願い」(郵送)到着

 

 

実績報告書提出後も、例の分かりにくい「リスト」が届きました

 

 

2021年 8月上旬  実績報告書等の提出物再提出(郵送)

 

             (書面での指摘内容を電話で確認の上、再提出)

 

2021年 8月中旬  実績報告書等の提出物に係る再提出お願い(電話)

 

2021年 8月下旬  実績報告書等の提出物に係る再再提出お願い(電話)

 

2021年 9月上旬  実績報告書等の提出物再再提出(メール)

 

2021年 9月下旬  「補助金額確定通知書」(郵送)到着

 

 

「補助金額確定通知書」をいただくまで5ヶ月かかりました。書類の審査は民間会社にアウトソースされているようです。混み合っているのか、書類のチェックはかなり待たされます。送られてくる書面は丁寧にリスト化されていますが、結論が書かれていないので結局電話しないと問題が特定できませんでした。事務局に電話しても時間によるとなかなか繋がりませんし、繋がっても用件を聞いてくれるだけで「後日担当からお電話します」ということになります。そして、そのタイミングは先方まかせになります。予告なく急に電話で込み入った書類訂正の話をされても、ほとんどの方は困るのではないかと思いました。こういった運用でかえって訂正箇所のクリアに時間と労力を費やしてしまっているものと思われます。

 

やっとの思いで担当の方に電話をもらって訂正箇所の内容を確認、書類の再提出をしてから後日別の方から別の訂正箇所の修正依頼の連絡が度々ありました。丁寧にリスト化された訂正依頼の通知の記載内容に漏れがあったり、記載内容自体が間違っていたりということも毎回ありました。審査側もひとつの案件に多くの人がかかわりすぎているのか、混乱している様子が伺えました。電話口で「今から私の言うとおりに修正入力して再提出してください!」と自信たっぷりに言われるのですが、入力してみると計算があってなかったり。。。コロナ禍で大きな打撃を受けている社長さんなら怒ってしまうような、いかにも要領の悪い対応をたくさん目の当たりにしました。

 

ちなみに、最終的な補助金交付はこれから書面で請求してからになります。世間で言われている「飲食店」などへの補助金・助成金・協力金などの支給が遅いと言われているのもこんな感じなのかもしれないと思いました。色々な省庁から次から次へと新しい補助金がリリースされ、同じ補助金メニューでも募集回を追う毎にルールの追加・変更がなされる訳ですから審査するほうも大変なのは無理もないのかもしれません。そういった世の中の普段見えざる一端を、補助金申請を通じて垣間見た気がします。でも、こういった「人から聞いた話」ではない実体験によって、補助金初トライの経営者の皆さんのお役に立てることになりました。

 

 

 

『目的』に向きあう『機会』に

 

 

今回、我が師である「超論理的先輩」K氏、「剛腕先輩コンサルタント」H氏それぞれの言われたことは、いずれも「本質」を捉えた考え方だと思いました。間違っても補助金取るための「事業計画」ではダメであることはもとより、他人をあてにして自らの「思考」を深めることをスルーして「軍資金」を得ようなどという姿勢では、事業の成否は危ういものと判断できる「常識」を持つことが出来たからです。

 

反省すべきは、それまでは私自身もなんとなく「補助金って取った者勝ち」といった感覚があったことです。返済しなくていい「資金」だからでしょうか。鹿児島に来てからの19年間で「本物の理想とそれを実現するための目的」を持ち、そこへ向かうために日々自分の脳みそで考え続ける生き方をたたき込まれたはずなのに、道をはずれそうになりかけていました。

 

「自分の道を極める」そのための手段として補助金を活かすことは決して悪いことではありませんが、いつのまにか補助金もらうことが目的になってしまうことのないようせねばなりません。「認定経営革新等支援機関」等のサポーターには「審査側」の趣旨や要件に沿っているかどうかを見てもらうのであって、「事業計画書」たるものはあくまで社長ご自身でつくるものです。過剰な「依存心」は禁物です。

 

どうか「補助金ビジネス」に関わる人達からの「誘惑」に負けることのないよう、補助金申請に取り組む「今」を自己の『目的』に向きあう『機会』にしていただきたい。彼らは巧みに「不安」と「焦り」にフォーカスして補助金獲得を目的化してしまいます。

 

今回の事業再構築補助金はまだ募集枠があります。焦らず、急がず、自らが「これならいける!」と思える「事業計画書」をご自身の脳みその中で練り上げて欲しいと思います。長い目で見て、必ずご自身の事業の『目的』に近づく事ができます。また、そのような経営者のためなら、私どもも共に寝食忘れお手伝いすることができるからです。

 

 

 

社長はこれまで補助金申請をされたことがありますか?自社の事業の『目的』に向かうための工程や戦略をしたためた事業計画書を常にカバン(デバイス)の中に入れてありますか?

 

 

 

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