縮小戦略で生き残るには。

2024/02/0718:08185人が見ました

地場工務店が直面する人口減少社会における課題と対策について考えていきます。
着工減が景気の悪さではなく世帯数の減少による構造的なものであることを認識し、今後の市場は増加せず減少傾向が続くと予測されます。

対策として縮小戦略、勝ち残り戦略、市場変革戦略の3つが挙げられます。

 

 

アンビエントの藤本です、

昔連載を読んでいただいた方には、お久しぶりです。
初めての人もいらっしゃるので、初めましても一緒にご挨拶させていただきます。
香川県高松で工務店業を1998年から社長やっている人間です。(アンビエントホーム

初めての人にはR+の仕組みの創業者で2008-2018年迄ハイアス&カンパニーと本部やっていた方が分かりやすいですかね。(断熱リフォームのハウスインハウス、ガーデンズガーデン、ADMなどもやっていました)

あと、工務店を営業・業務支援をするソフトのBPM(ビジネスプロセスマネージャー)を販売している株式会社CRMの社長でもあります。(株式会社CRM

実は以前の連載をやめてからずっと色んな人に早く現場復帰しろよと言われ続けていたのですが、なかなか踏ん切りがつかない態でした。
ですが、コロナ、ウッドショック、インフレ、少子高齢化、人口減等の影響で、私がこの業界に入ってからずっと言い続けていた金利上昇、円安、着工減、資材高、寡占化などの事が現実になり、お付き合い有る方々から今後どうなる、どうすれば良いかという相談が増え、それに都度お答えするのがいささか大変になって来た事で、いっそこのさい連載で発信した方が良いかとの想いに至り、連載をする運びとなりました。
これから再開となりますので、今後の連載の骨子をお伝えします。

 

①人口減社会に於ける今後の地場工務店の市場がどうなるのか。

②それに対してどう対応していけば生き残れるのか。

 

この2点について多角的に事例を交えながらお話ししていきたいと思います。

まず現状の把握ですね

着工減が明確になって来ましたが、これは景気が悪いから減っているのでは無く世帯数の減少による構造的な減少である事を、まずは最初に共有の認識とさせていただきます。
つまり今後増える事は無いと言う事です。頑張って耐え忍んでおけばまた良い日が来ると言う事は無い。

例外が有るとすれば、天変地異とか今回の能登地震など今後起こるかもしれない東海東南海地震、スーパー台風とかの復興需要で一時的に需要が増える事は有るとは思いますが、長期的には減り続けるのは規定路線だと思って頂いて良いかと思います。
そこで取りうる対策ですが、生き残る視点で見ると

 

①縮小戦略

需要は減るが住宅会社の数は変わらない場合、1社あたりの棟数が減少。
つまりは、売上減少を前提とした会社規模の縮小という戦略

 

②勝ち残り戦略

需要は減るが、自社の勝ち残りによる寡占化、市場に対応出来なかった会社のマーケットから退場による住宅会社の減少により、売上現状維持または増加による勝ち残り戦略。
現状、全国で元請けをやっている工務店が約2万社あるのですが、約半数の1万社は市場から退場を余儀なくされるといわれています。

 

③市場を変える戦略

新築一戸建て市場以外にマーケットを見出しそこへ移行、市場を変えて生き残る戦略。

 

以上ぐらいかとは思いますが、
どれか1つでは無くて、現実はこの3つの複合で対策していくかと思います。

では具体的に各戦略の解説をしていきます。
まず、①の縮小戦略ですが、②の寡占化との兼ね合いでただ縮小しても今までと同じ(集客→競合→受注)のような営業スタイルでは、地域の力ある工務店住宅メーカーに打ち勝てず少ない受注もできない状態になる恐れがあります、理由は後述しますが、具体的には縮小戦略を取る場合、自分の会社の受注スタイルを見てください。

 

簡単に言うと、顧客、業者からの紹介受注が全受注の半分を超えている工務店であれば、縮小戦略を取っても生き残る可能性があります。 
参考になる考え方をご紹介するとすれば、ランチェスターの第二法則及び第一法則です。

ランチェスター第二法則とは、集団戦闘となる場合を想定し、互いに多数の敵と向き合うような状況で利用します。 第二法則は、戦闘力=武器性能×兵力数の2乗となります。 第一法則との違いは、兵力数が2乗となっている点です。 兵力数は、勝率に対して指数的に大きな変化をもたらすというのが第二法則です。

たとえると、総合展示場で同じ顧客が複数の住宅会社を廻って競合状態で住宅会社が受注していくと言うと解りやすいでしょうか。

今、住宅メーカーで受注好調な一条工務店を見ると解りやすいですね。
[好調な受注力(戦闘力)=高性能、低価格、UAG2のローコスト企画住宅(武器性能)×営業マン(兵力数)×2乗]により大手メーカーで唯一業績を上げています。

 

またランチェスター第一法則とは、
「戦闘力=兵力数×武器性能」です。
つまり、「同じ武器を持った兵士同士が戦う場合は人数が多い方が勝つ」という理論です。 しかし、120人の相手を何らかの形で60人ずつに分散させ、片方を集中攻撃する戦略を立てれば、数が少なくても勝てる可能性があります。ですので、狭いところに誘い込んで各個撃破すれば勝てるって言う弱者の戦略でよく紹介されています。
要は中小零細工務店が地域大手と同じ土俵で戦っては勝ち目がないです。

紹介受注が半分を超えると生き残れると定義したのは、
地域大手は紹介受注においては第2法則(武器性能=商品力)(兵力数=従業員数の二乗)が使えないからです。(狭いところ=紹介)はそもそも他社が入れないところで勝負する事ができるとうことです。
そして、第二法則(武器性能)は限定されたフィールドでは役に立たない、例えば狭小敷地、変形敷地、二世帯住宅、などの自由設計前提の土地条件、G3などの超高性能を望むお客様、アトリエ建築家のような尖ったデザインetc、大手住宅会社が不得意な分野などを得意としていればより勝ち目は上がります。
 
ただ、限定されたフィールドには、大手住宅会社ではなく、ライバルの中小零細工務店がひしめいています。
あくまでも、得意分野は受注の確率を上げますがそれがあるから生き残れるわけではないと言うことです。
なので、大事なのはオーナーとの関係性を大切にし、紹介受注を主体にする経営指針だと言うことです。ここが明確にできていれば、受注数が半分になっても、紹介部分だけは残るので、一般販売管理費(経費)を半分にすれば生きのこれますよね。

逆に、紹介受注が主な受注でない場合、特徴ある商品を持っていたとしても、縮小戦略は使えないということになります。

そろそろ紙面も尽きてきたので、次回②、③の解説をしたいと思います。

 

 

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