中小工務店の生き残り戦略:勝ち残りと市場変革への道

2024/03/1923:15268人が見ました

◆中小工務店は大手メーカーのシェアを奪うことが重要であり、自社の強みを活かした価格帯や自由設計の提供が必要。

◆小規模工務店は得意分野で勝負し、商品やサービスのラインナップを拡充して顧客層の幅を広げることが重要。

◆両者とも顧客のニーズに応じた施策を展開し、信頼関係の構築や顧客データベースの活用がポイントである。

 

 

では、前回からの続きをお話ししたいと思います。

1.    縮小戦略

2.    勝ち残り戦略

3.    市場を変える戦略

前回は上記のうち1に限定した話をしました。
引き続き2と3の話をしたいと思います。
ただ、お話しするうえで中小工務店と小規模工務店よって戦略は大きく違ってくるので規模ごとに話を分けてしようと思います。
まずは会社が組織化できている中小工務店(具体的には年間50棟~100棟、10億~20億前後の売り上げを想定しています)の戦略からお話しすると、今後、縮小する市場で地方の中小工務店が注文住宅の受注で勝ち残る戦略として一つ有効な手段としては、大手メーカーのシェアを奪う戦略が考えられます。
2と3がと少し被る戦略になりますが、要は戦うステージを変えて工務店の強みを生かして生き残る戦略です。

全体の市場の縮小につれて、顧客の予算志向と物価上昇が重なり住宅メーカーの自由設計の住宅は富裕層を除き、今までの住宅メーカーの顧客が買える値段ではなくなってきています。
住宅メーカーも対応策で企画住宅等で価格を中小工務店に合わせてきてはいますが、今までのような自由設計では価格を維持することが難しくなっているのが現状です。ゆえに同じステージにさえ上がれば工務店の価格帯、自由設計のところで勝負をかけていくのも考えられます。

ただ、この「同じステージ」のハードルが高い。
大まかに言うとブランド訴求力なのですが、
具体的に営業目線でいくと

ラインナップの広い商品構成

長期保証

金融及び不動産スキルの有る営業マン

豪華なカタログ

常設展示場

顧客が自慢できるブランドイメージ etc

上記が必要な理由としては顧客の層がミドルエンド(例えば地方公務員のご夫婦、上場企業の転勤族)から準富裕層(勤務医、弁護士、地方の零細企業の経営者)です。この層の人たちは自分が買える範囲であまり時間をかけず間違いないものを買いたい人たちなので、その人たちにわかりやすく、買いやすい状態を作ってあげないと同じステージに上がることができません。
つまりは、お金を払えばそこそこ以上のものが間違いなく手に入ることの目に見える証明が上記のこととなります。

例えば日々の買い物に例えると、高級スーパーやデパートの食品売り場の値付けはかなり高いですが、高級な所で買えば品質の良い商品が手に入ると言う理由で(安くてよいものを探す時間と手間を惜しんで)お金を払っています。
住宅の買い方も概ね同じです。過去に住宅メーカーとトラブルがあった事が理由で、その後施主からの紹介で私どものお客様になった方が、「御社みたいな会社も有るんですね。まったく知りませんでした」としみじみ言われていたのが印象的でした。この層の人たちには地方小規模工務店は選択肢の候補にも上がっていないので、知りようが無いということですね。

現場目線で行くと、

利益率が高く価格競争に巻き込まれにくいオリジナル建材

初めての職人でも問題が起こりにくい収まりの標準化

短工期、監督の質に左右されない現場品質の標準化 etc

などでしょうか。

現場目線の話をしたのは、企業として勝ち残るには合理化、効率化が必須なので、営業と現場は表裏一体で動くからです。これがないと価格の訴求力、簡単に言うと社員と職方の効率的な運用最適化になります。ここがないと働き方改革の労働時間内で競争力を維持することは不可能になります。
ただここは、注文住宅の煩雑な作業工程と相反する要素なので、綿密な商品化とITOを使ったルール化が必要です。
ITOとの連携については今後、この連載で詳しく書いていきたいと思います。

この辺をクリヤーにできれば市場の縮小に対して地域の注文住宅着工の中で寡占化していくことが可能かと思われます。
その他、不動産との連携、非住宅への拡張、などなど色々有るのですがその辺はまた後日・・・・・。

この連載を読んでいただいている方たちは中小企業の定義から言うと組織ができていない小規模工務店が多数を占めると思います。ちなみに私の会社もこの定義から言うと小規模工務店です。

なので、今から小規模工務店の話をしていきたいと思います。
では小規模工務店はどうすれば良いのか?

2の勝ち残り戦略においては、ランチェスターの第一法則の通り商品(戦場)を限定して得意分野で勝負をかける。ここは常套手段ですね。ただ商品(戦場)を限定するとき同じ規模のライバルも沢山いると前記しましたが、ここでライバルに打ち勝って、勝ち残るために絶対必要なことをご説明すると、

商品(戦場)の分野では、地域一番店であること。(マーケティング戦略において顧客のブランド価値は一番とその他大勢に分類されます)ここでのポイントは客観的な一番であることが必要だと言うことです。例えば高性能なら地域での棟数実績、平均の数字などですね。自分では一番と思っていても顧客に認知されていなければ成立しません。ですから、客観的なものが必要です。

これを「ナンバーワン戦略」と言います。

顧客層を上下に広げるためのラインナップの拡充と各顧客の階層ごとのサービス項目の設定です。
要は同じ商品(戦場)で顧客の幅を広げるということです。
同じ商品を売ろうとしても顧客の階層ごとに求められるサービスは変わります。住宅メーカーに近い顧客(準富裕層)は商品(戦場)がはまっても、住宅メーカーがやっているサービスに近いものが無いと買ってくれません。
ローコストに近い顧客も同様に商品(戦場)がはまってもローコスト住宅のようなわかりやすい商品体系と価格が無いと買ってくれないのです。
これを「得意分野の拡張戦略」と言います。

この二点で2勝ち残り戦略、3市場を変える戦略、(厳密には市場の拡張)の組み合わせの小規模工務店向けの戦略が見えてきたでしょうか。
言うは易く行うは難しい話に聞こえるかとは思いますが、出来ないことではありません、キモはIT化とリソースの集中、集約です。

ここまででナンバーワン戦略、得意分野の拡張戦略が無理な場合は真剣に1の縮小戦略を考えたほうがよいかもしれません。

最後に、3の市場を変える戦略をお話ししたいと思います。

市場を変えるというのは、例えば新築一戸建てからリフォームを主にするとか、外構工事屋とかへの業種転換を指します。
一番多いパターンとして新築が減ったならリフォームすればいいと言う経営者の方が多いと思われますが、自社の過去の売り上げの中で、リフォームの売り上げが収益のそこそこに位置を占めるぐらいやられている方は大丈夫だとは思いますが、新築主体で事業を展開されていた方はリフォームを新築と同じようにやると失敗するケースが多いようです。

一番大きな違いは営業工数に対する受注額と粗利の構造が全く違うことです。リフォームの業界団体調べで一般的なリフォームは一件あたりの受注額の平均が50万円前後と言われており、新築と同じような手法では営業工数が合わない、工事工数も新築のように段取りをきっちり組んでやると工数が合わない、粗利の考え方が全く違う、等々なんですが、この辺は私よりも詳しい方たちのセミナー等を聞かれるほうが良いかと思います。

ここではとりあえず、小規模工務店で新築主体をやってきたと仮定して、私の経験と実績でお話しすると、やはり営業初期コストをかけずここに業種転換していくのは、いままで建ててきたお施主様を中心にリフォームを展開していくのが一番かと思います。

ただ、条件がいくつかあります。

社歴20年以上

建ててきたお施主様と関係が良い(めちゃくちゃ良くなくても良いです)

建ててきたお施主様の住宅のデーターベースが構築され整理されている

リフォームの専任を置くことができる体制

等になるかと思います、

ですが、オーナーのリフォーム営繕工事が始まるのが20年目あたりからなので、このあたりからオーナーが第二の顧客になっていきます。
かつ、20年前に新築した方たち(当時30歳代の方たち、現在50歳代)の親世代が70歳から80歳に差し掛かります。実は一般リフォームのボリュームゾーンの年齢が50歳代から80歳代なのです。
ここより下の年齢層の方たちのリフォームは新築をあきらめて中古住宅を購入した一次取得層と親御さんからの相続でもらった住宅のリフォームになります。前者は比較的少額、後者は比較的高額になる傾向があります。(ここへのマーケティングは次の機会に書きたいと思います)

ここで顧客との関係が悪くなければ営業の初期ハードルが大きく下がります。なぜなら、リフォームする施主にとっては信頼できる業者を探す旅をしているようなものなのです。
私の所感ですが、リフォーム業界はきちんとした信頼関係を築ける業者が少ないようです。アンビエントはリフォーム専門の子会社を10年以上やっていて、この会社を経営するなかで、他社のリフォーム業者を転々と変えてきた顧客が、自社でリピートしてくれる顧客に変わっていく姿をありありと見てきたからです。

リフォーム業界の利益構造や客単価では信頼を構築するための工数がさけず、かつ売り逃げに近い形でしないと利益が残らないターンの短い商売なんだと思います。
なので、一旦信頼関係が築けるとリピーターになってくれやすい業種だとも言えます。
新築の場合、一回建てると次の受注はその人にはほぼ無く、紹介だけが再受注になりますが、リフォームは少額の工事を延々とリピートしていく構造にもっていくことが売り上げの安定と利益の貢献になっていきます。

建てたお客様のデーターベースが構築されていて整理されていることが受注の効率化とファン化に貢献されます。
具体的に言うと少額営繕工事でも利益が出るので、顧客から見れば些末な工事でも嫌がらず来てくれる、値段も高くないので顧客満足度は高くなる。つまり「ファンになる」ということになります。
例えば網戸が破けたので張り替えてほしいという電話があったとしましょう。データーベースが構築されていなければ、まず、アポイントを取って現状に確認をしに行き、業者の手配をして、業者が下見をして見積もりを出して受注して、再度業者が現地に取りに行き、または現地で網戸を張り替えて、施主に完了の確認をして、請求書を作り集金するというような流れでしょうか?現場担当者のスキル次第では工数削減も可能だとは思いますが、新人の監督だと仮定するとこんなもんかなと思います。

これでは数千円の受注では全く工数は合わない、合わないから行かない、もしくはおざなりな対応になる、おざなりな対応なので施主は、次は頼みたくなくなるというような悪循環になっていきます。

ではデーターベースが構築されているとどうなるのか?
電話を受けて、データーベースを参照してどこが破けたかを聞けば、現地行かなくても速攻見積もりを出せます。なので、メール、LINE等で金額をお知らせして、業者の手配、工事終了時は担当者が現地確認、集金まで済ますという流れがワンストップで構築できます。
工数が極端に減らせられるので利益がでる、利益が出るので競争力のある価格設定ができると言うことになります。
このために私はそのためのシステムをグループ会社で作って運用しています。(https://www.buildcrm.com/

リフォームの専任を置くことができる体制はリフォームの営業と監督は不可分だと言うことです。額が少額な上、細かなニュアンスが現場まで伝わらないとクレームになりやすい仕事なので、営業や工事に各専任を置くのは理にかなわないということになります。あと、新築と工程やサイクルが大幅に違うのでよほど器用な人でないと新築との兼任は難しいと思われます。

次回は各ポイントについてもう少し掘り下げた話をしていきます。

 

一覧へ戻る