営業力に応じた市場拡大戦略の違いー戦略の選択とはー

2024/05/2313:54254人が見ました

では今回も先月の続きをお話ししていきます。
まずは各項目の掘り下げをしていきましょう

 顧客層を広げるためのラインナップの拡充と各顧客の階層ごとのサービス項目の設定です。

一重にラインナップを広げると言っても、そもそもラインナップの概念がまちまちなので、まずこの概念の整理をしていきます。
まず、ラインナップを縦に広げるのか(顧客の年収ベース)横に広げる(施主のライフスタイル、テイストベース)のかを選択しなければなりません、なぜならリソースが限られている工務店が全ての人を満足できるラインナップを作るのは現実的ではありません。

ではどうすればいいのか。
結論から言うと工務店の社内体制でどちらかを選ぶ事になります。

まず、横に広げる場合を考えてみましょう、
横に広げると言うのは価格帯を固定(顧客層、要は年収ですね)してテイスト(デザインの幅)を広くしていく事かと思います。

ここのポイントは、デザインの幅を広くして顧客の好みで何でも提案出来る状態にすると言う事なんですが、デザインの幅を広げると積算、工事が煩雑になって作業工数が増えて利益を圧迫する可能性があります。そこで住宅を商品としてモジュール、仕様等を統一して企画化して価格を揃えて買いやすくする事が肝要です。ですが現場では変更は必ず起こるので、そこを放置すると企画化した意味が無くなり現場が混乱します。そこで施主の要望に対応する為に一定の変更を許容するルール作り、仕様の変更が出来るオプション等でカスタマイズを容易にする事です。
デザインの例えですと、アメリカのランチハウス調からモダンデザイン、和風、洋館、コンサバな普通の家などですね。

このやり方のメリットは営業マンのスキルがあまり要らない昔ながらの人間関係営業でやれる、商品を作るのが難しい場合買ってくればいい(FCVC)など住宅ネットワークなどから調達可能であると言う事です。
デメリットとしてこれは簡単なので他社も同じ事が同じく簡単に出来てしまうので優位性がそう長くは続かない。デザインでの自社のアイデンティティが作れないので地域で埋もれてしまう事でしょうか。
しかし、使い古されたやり方ですが、地域によってはまだ通用する可能性はあると思います。

次に、縦に広げる時のポイントですが、同じテイストで顧客の幅を広げるという事なので、低年収のローコストに近いお客様から高年収高学歴の高価格のお客様までを相手にする事になります。故に営業のスキルが幅広く要求されます。ローコスト商品さえを用意ことで対応できるのですが、高価格のお客様になると、マナー、事務所のしつらえ、カタログから見せるもの、営業の知識の幅(金融、税務、相続)が必要になります。

こう見るとハードル高そうに見えるのですが、1つ大きなメリットがあります。
それは、商品を絞って価格帯を広げるのはブランドの訴求と言う意味では非常に大きな意味を持ちます。
つまりテイストを絞る事で自社のブランドイメージを訴求しやすい(要は写真を見ればあの工務店ねとわかる)
広告戦略が立てやすい(長期的に)のもメリットでしょうか。

そしてどちらの戦略にも必要な事は、施主に解りやすい商品にまで落とし込む事です。
一目で判るテイスト、簡単に納得してもらえる価格の違い、選びやすい商品構成などでしょうか。

また、営業は強く無いけど、どうしても縦に広げたい場合、例えば、デザインテイストにこだわりがある、競合他社がすでにラインナップを横に広げているという場合には1つだけ営業力を覆せる方法があります。
それはお金の知識をつける事です。施主へのファイナンシャルプランニング、税務の知識、等で、お金の知識は勉強することで身につきます。俗に営業力はある意味、才能の領域なので向かない人は一定数いると思いますが、金融知識はそれがありません。これを機に金融スキルを身につけられてはいかがでしょうか?

まとめると、

・営業が弱い会社は横に広げて顧客のセグメントをあまり変えずに商品ラインナップを拡充していく

・営業が強い会社は縦に広げて商品テイストを固定して顧客のセグメントに合わせる価格帯を作り込んで行く

 

こんな感じでしょうか。

一覧へ戻る