住まいづくりの達人、一般社団法人住教育推進機構理事長の大沼です。
テーマは、「安い新築より高いリフォームがなぜ良いか?」ということです。
今回のお題は、「表層地盤増幅率」についてです。
なかなか聞きなれない言葉ですが、どういうことかというと、地震に対する地盤の弱さを示す数字です。
地震の力を割り増しする係数で、数字が大きいほど地盤が弱くて、横揺れが大きくなります。
結論から言いますと、自分の地域の表層地盤増幅率をまず調べて、その上で耐震設計をその係数に合わせて考える必要があるといいうことです。
例えば、地震が発生した際に、山間地など地盤が固く地震波の増幅の少ない土地に立つ家、台地など地表まで地盤が丈夫で増幅が少ない土地に立つ家、平地や盆地など深部の地盤で増幅した地震波が更に表層で増幅される土地に立つ家があるわけです。
地震が起きた距離によって、固い地盤であれば横揺れは少ないということです。
ですが、軟らかい地盤のところでは、地震波の増幅によって横揺れが非常に大きくなります。
これは地盤改良をしても直りません。
なぜかというと、地盤改良は上からの荷重を支えるためのものであって、横揺れに関してはあまり効果がないからです。
ですので、建物の強度を考える際、この表層地盤増幅率を確認しておかないと、地震に対応できなかったりします。
地域によってどれくらいの表層地盤増幅率かというのは、J-SHISのホームページのマップを見て頂くと、自分の地域がどれくらいの数値に当てはまるのか見ることができますので、確認して頂きたいと思います。
耐震設計をする際、例えば表層地盤増幅率1.4のマップ上で黄色い地域ですが、このあたりの数値であれば、耐震等級3の建物は、ちゃんとそれなりの効果が出ます。
ですが、例えばマップ上の赤に近い、オレンジや濃いオレンジのところ、マップ上では関東地方に多いですが、このような地域ですと、耐震等級3の建物を建てても、地盤が軟らかい分、実は評価点が低くなります。
建築基準法の1.5倍の、耐震等級3の建物を建てても、表層地盤増幅率が2.0の地域では、建築基準法の耐震評価の1.0にしか値しないということになります。
どんなに頑丈な建物をつくっても、地域によっては、それだけの効果を発揮しないということになります。
ですので、土地を買う際に、まずは表層地盤増幅率がどのような地域なのかを確認して、それに対してどのような耐震補強をするのかを考えなければなりません。
頑丈につくるだけではなく、やはり揺れても元に戻るような制震構造を考えるというのも大事ですので、それぞれの地域に対応した家づくりをして頂きたいと思います。
戸建リノベーションの場合は、耐震というよりも、この表層地盤増幅率に対応できるような制震構造を取り入れる機会が多いです。
家を建てる際は、この表層地盤増幅率を考えながら進めて頂ければと思います。
今回のお題は、「表層地盤増幅率」についてでした。
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以上、住まいづくりの達人、大沼でした。
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