住まいづくりの達人、一般社団法人住教育推進機構理事長の大沼です。
テーマは、「安い新築より高いリフォームがなぜ良いか?」ということです。
今回のお題は、「表層地盤増幅率を考えた耐震設計」についてです。
この表層地盤増幅率というのは、別のページでもお話ししましたが、地震に対する地盤の弱さを示す数字です。
地域によって地盤が固い所と軟らかい所があります。
写真のように、J-SHISのホームページで確認することができます。
この数字が大きければ大きい地域ほど、地盤が軟らかくて、地震の横揺れが大きくなります。
例えば、一般的な表層地盤増幅率1.4の黄色の地域で、耐震等級3の建物を建てた場合、地盤を考慮して建物を建てると、総合評価1.46という数字になってきます。
けれども、例えば濃いオレンジの地域で耐震等級3の建物を建てても、建築基準法の最低基準の1.0以下の数字にしかならなかったりします。
実は、地域によってこの建物の耐震性能の総合評価がかなり変わりますので、その地域によって耐震補強のやり方が変わります。
やはり土地選びから、こういうところも考えていかないとダメなのかなと思います。
地盤改良をすればと考えがちですが、地盤改良は上からの荷重を支えて不動沈下を防ぐためのものでしかありません。
やはり、横揺れを考慮した設計ということなりますと、家を頑丈につくればいいというだけではなくて、揺れて元に戻る力というものも必要になります。
今は、制震ダンパーなどが多く出てきていますので、こういうものを入れるというのも大事になると思います。
例えば、表層地盤増幅率が2の地域で、耐震等級3の建物を建てた場合、実際の評価としては1.02にしかなりません。
そこに震度7の揺れを、震度5に軽減してくれる制震ダンパーを12本入れると、約1.4くらいの数字まで上げることができたりします。
今、法律的には耐震の考え方は、家を頑丈につくるという方向性にはなっていますが、実際に地震が起きても壊れない家というのは、家を頑丈につくるだけではなく、揺れて元に戻る家にすることや、地震の力を逃がしてあげる家という考え方が必要です。
地域の表層地盤増幅率を考慮した家づくりを行っていくことが一番大事になると思います。
今回のお題は、「表層地盤増幅率を考えた耐震設計」についてでした。
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以上、住まいづくりの達人、大沼でした。
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