これまで、快適な暖かい生活という基本的人権を保障するための、熱を供給する話ばかりしてきました。でも、もう一つ大切な観点があります。それは、熱をできるだけ使わなくてもいいような措置をする、ということです。それは建物のエネルギー性能をよくする、ということです。具体的には採光、蓄熱、断熱、気密といった措置です。
我が家は、築50年のごく「普通」の家。理想的なやり方は、包括的な省エネ改修を施して、エネルギー性能を良くし、熱需要を大幅に落としてから、その熱需要に見合った熱供給システムを取り入れることですが、それをやってしまうと、かなりの費用がかかり、経済的に無理なので、とりあえず壊れたガスボイラーを新しくし、あとは、細かい省エネ措置を住みながら少しづつ施していく、という戦略にしています。
建物は50年前のもの。半地下一階はコンクリートと礎石造、二階は薄いグラスウールの断熱材が壁と天井に入った木造プレハブ、サッシは主に80年代の木製ダブル。建物エネルギー証書の値は100kWh/m2年(ガス代は年間平米あたり80ユーロくらい)と、新築基準の2倍の熱需要がありますが、築50年の建物としては上出来です。200、300kWh/m2年という古い建物はドイツにはざらにあるので。
最近やった小さな省エネ措置は、玄関と階段の踊り場と物置にあった断熱性能の悪いガラスや窓(熱がたくさん逃る弱点でした)を、性能のいいものに変えたことです。また、窓枠や扉で隙間風があったところをホームセンターに売っているTesaMollという隙間テープで止めました。今後は、日当たりがいい南側を中心に、蓄熱と調湿性能に優れた分厚い木や土壁ボードを部屋の床・天井・壁貼って、寒い時の太陽熱の蓄熱、暑いときのオーバーヒート防止をしようと思っています。土や木は湿度管理にも優れ、匂いも中和してくれますし。
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