クラフトバンク総研の高木です。前回に引き続きコロナ禍で揺れる建設業の現状がどうなっているのか、実データをもとに見てみたいと思います。
「受注多くて…施工を頼める先が無くて困っています」
「コロナで受注が減ったし、集客しようにも反応が悪くて…」
弊社が運営する工事会社のプラットフォーム「クラフトバンク」( https://craft-bank.com )に届く声はとにかく"バラバラ"です。
本記事は上記のようにコロナ後の建設業の"バラバラ"な動向をデータに基づき検証するシリーズの第三回です。今回はより具体的にコロナ後の建設業の生き残り策「バラバラな中で求められる切り替え」について考えます。
①大手各社の決算を分析する~“バラバラ”業績を読み解く(2020年10月版)
https://chikalab.net/articles/754
②工種別のコロナ影響~電気は忙しい、足場は厳しい?(2020年11月版)
https://chikalab.net/articles/779
2020年廃業数ランキング2位は建設業
2020年1~10月に休廃業・解散した企業の業種別ランキングです。
件数1位はコロナの影響を受けやすい宿泊等のサービス業ですが、建設業は2位です。昨年同期間の実績と比較した増加率でも24%(全産業3位)と高い数値になっています。
今回のコロナ支援策の多くは借入です。よく活用される政策金融公庫の融資制度は、最大借入期間が15年。建設業の経営者の平均年齢が59歳であることを踏まえると、「15年後、借金を返しきれるか?という不安」と、「辞めるきっかけが出来た」と廃業を選択する企業が増えていると考えられます。
“コロナ後”の世界はとにかく”バラバラ”
廃業も増加する中、8月以降、今期の業績見込みを上方修正、対前年比プラスを見込む企業も増えています。
コロナ後の建設業は「全て悪くなっている」わけではなく、「プラスとマイナスが混在」するのが特徴です。各社借入が増える中、それを返済するためには「来期以降、コロナ前よりも売上を確保しなくてはならない」会社が多いはずです。そのためには「悪くなっている領域・地域にしがみつかない」「切り替え」が重要になります。
9月までの民間建築分野(公共・土木除く)の各種統計を分析し、作成したのが下記の図です。
非住宅は「倉庫」が大きく伸び、「事務所」がやや悪化に留まる一方、「店舗」と「工場」が大きく悪化しています。
住宅では首都圏や京阪神地域よりも、東海地域やそれ以外の地域の方が悪化しています。正確には県単位で全く傾向が異なり、特に、岩手、奈良、佐賀、沖縄等の地域で突出して悪化しています。
工種別では電気、空調、給排水などの「設備系」が伸び、足場、塗装、大工などの「外装系」が悪化しています。内装、クロスなどの「内装系」は若干の悪化に留まっています。
上場企業(住宅)の決算も、住宅展示場経由の受注が多いかどうかが影響し、各社バラバラになっています。
住宅系の最新記事を見てみると、「購入検討者の訪問数は2018年2.6社から2020年は2.2社に」とあります。「これまで3社検討していた人が自宅で対象を絞り、2社しか訪問しなくなっている」とも言えるので、「検討時の上位2社」に入っていない企業は受注を減らし、「上位2社が総取り」するという構図になっていると考えられます。
現状を踏まえた元請、工事会社それぞれの対策等、詳細はぜひ弊社以下リンクもご確認ください。
https://contech.craft-bank.com/n/n590101e010b9
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