【第5回】業務フローと業務内容の明確化で「業務の標準化」を!

2021/04/2209:571634人が見ました

   前回までに、監督の業務に関わる“9大管理”についての考え方などをお伝えしました。ではこれらの管理項目がわかれば業務が円滑になるかというと、そううまくはいきません。

今回は監督の業務を円滑にするための「標準化」について説明いたします。

 

〇管理をしっかりおこなうには「業務フロー」が必要

 9大管理を円滑におこなうには、順番を決めて対応していくことになります。これらを並べたものが「業務フロー」になります。どんな会社でも仕事の流れはあるはずです。それが文書化されていなくても・・・。“着工→上棟→大工工事”といった大雑把な流れはわかっても、そこにある細かな業務についてのやり方がバラバラだと、ただ流れがあるだけで本来の業務フローではありません。

 業務フローでは、監督業務の流れを細かく見ていきながら決めていくことになりますが、その時の他の職種(営業や設計)、そしてお客様の動きというところまで関連づけて作成していかなければなりません。一番わかりやすいのは、縦に職種を並べ横に業務の流れを記していくことです。こうすることで、監督が〇〇を行っている時、営業や設計は△×をおこなっているというのがよく見えてきます。この業務フローは工事監督の仕事部分だけ作るのではありません。お客様発見からアフターまで一連の流れを明確にすることで、個人による違いが減り、新しい社員が入ってきたときも業務の共通事項として認識できるようになります。

 

業務フローモデル(イメージ)


 

〇フローだけ出来てもダメ、内容まで決める

 ではフローが出来たらうまくいくかというと、そうなりません。フローはあくまでも流れであり、その時々の業務の内容まで決めていきましょう。例えば、お客様と現場で立ち会うはどの時か、そしてその時何を確認するのか、といったことを決めるのが「業務内容」を決めるという意味です。監督によって確認事項が異なっていたらおかしいですよね? 皆が同じことが出来るようにすることが業務内容を明確にするということであり、業務の効率化や品質の統一化を進めるうえでもとても大切なことです。そしてその時に使う帳票は何か、例えばチェックリストを用いるのであれば、それも業務フロー上に記しておくとより分かりやすくなるのです。

 ここまで出来るようになれば、業務効率UPも考えやすくなります。仕事をしやすくなるという事は、監督のストレスを軽減することにもつながります。そして、より業務効率を上げていくためにITを活用しましょう。監督業務の効率化につながるITサービスは、いろいろな種類があります。

しかし「とりあえずITサービスを入れて、それに合わせて業務をおこなおう」と思っていませんか? そのように考えるのはちょっと待ってください! このような導入の仕方は、一見すると良く見えますが実際はうまく機能しない事の方が多いです。ITサービスに合わせることがストレスになるからです。そうではなく、自社の業務の流れや内容をしっかり決めたうえで、ITサービスを利用することが本来の進め方です。

標準化には帳票類の整備も重要

標準化には帳票類の整備も重要

 

〇標準化の意味とは?

 標準化というと、何か枠にはめるようなイメージを持たれることがあります。「お客様は同じではないので、その対応で標準化できない」と思っていませんか? 標準化とは、誰がおこなっても同じことが出来るように業務の内容や行動の仕方などを決めることです。そしてこれは、常に最適な状態へ改善・進化させていくことが必要になるのです。要するに「標準化」とは今現在のベストなやり方であり、違うやり方、もっと良い方法があればそれに変えていくことが前提なのです。

設計でも同じことが言えます。例えばデザインに優れた家づくりを行っている場合、「お客様1人1人のご要望を聞いていくから、標準化などできない」といった具合です。しかしよく考えてみてください。家づくりを考えるうえで、土地の状況を観る、お客様にヒアリングする、プランを考える、仕様を考えるといった行為は同じことの繰り返しです。これらを標準化しましょうということが「標準化」の意味になります。

 

 今回の「業務フローと業務内容の明確化」というのは、工務店経営の根幹部分だと思っています。営業手法、設計手法といったテクニック的なことが求められる傾向があるようですが、本来は“如何にして効率良い仕事をするか”、“如何にしてお客様に喜んでいただけるか”、そして“如何にして良い家づくりが出来るか”、というのはこの標準化に掛かっていると言っても過言ではありません。一度見直してみてください。もしわからないことがあれば、「住宅産業塾」までお問合せください。

 

 

次回は、「魅せる現場づくりで顧客・近隣への配慮」についてお伝えします。

 

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