コロナ禍により世界の情勢が変わってきました。
もしかしたら、今までの常識が大きく変わるかもしれません。建築業界にいる我々も今までと同じ感覚でいると、恐らく生き残れないのではないかと感じています。
私たちは、古民家である伝統工法建築物から先人の知恵や技術を学び、日本の伝統文化として後世に遺したいと考えています。伝統工法の建築物を伝統工法のまま活かし再生することを「再築」と呼び、その「再築」を広めるべく2017年一般社団法人日本伝統再築士会を創りました。同じ志を持つ建築士の会です。
現在の建築基準法で建てられる在来工法と基準法が出来る前から存在する伝統工法は構造が違います。
今回は柱について説明します。
伝統工法には大黒柱がありますが、在来工法にはありません。
大黒柱は良質でひときわ大きな木材が使用されます。ほかの柱とは明確に区別されていて、建方も伝統工法ではまず大黒柱を最初に建てそこから建前まで進めていきます。構造・間取りの中心であり精神的にもその家の中心となります。
よく「一家の大黒柱」と家族を支える人を例えますが、語源はこの伝統工法の大黒柱なのです。
在来工法には大黒柱はほぼありません。建築基準法上必要最小限かそれより少し大きいくらいののサイズのものが使われます。経済優先となっているためです。
近年核家族が増え一人暮らし世帯も少なくありません。その世帯は「一人大黒柱」となるのですが、やはり家族あってこその大黒柱なのではないでしょうか。
新型コロナウイルス感染予防のため、三密を避けるとか家族感染を防ぐとか言われていますが、こんな時だからこそ家族のつながりの大切さを改めて考える時なのだと思います。しばらく経済的に厳しい時が続くと思われます。人との接し方、働き方も変えていかなくてはならないと思います。一家の大黒柱がリーダーシップを発揮して家族を、家庭を支えていかなくてはなりません。
伝統工法の家づくりから家族のあるべき姿、新たな働き方が見えてくるかもしれません。
私たち日本伝統再築士会は、伝統工法建築物の良さを見直し、新しい住宅環境を創っていきたいと思います。
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