住宅業界のキャッシュフローコーチ、出口経尊です。
数回に分けてお伝えしている【借入後の工務店利益倍増計画】は今回で7回目となります。
今回は「根拠ある利益目標」の考え方についてお伝えします。
きっちり数字を理解することで持続的な経営が可能になります。苦しい部分もありますが、数字をシビアに把握し計画を立てることで、経営の中の楽しい部分にチャレンジできると考えてみてください。
ここで初めて読まれる方や復習をされる方のために、前回までの話を一覧にします。
借入後の工務店利益倍増計画①(返済)
https://chikalab.net/articles/589
借入後の工務店利益倍増計画②(繰越)
https://chikalab.net/articles/599
借入後の工務店利益倍増計画③(減価償却費の繰戻)
https://chikalab.net/articles/605
借入後の工務店利益倍増計画④(利益目標)
https://chikalab.net/articles/646
借入後の工務店利益倍増計画⑤(人件費)
https://chikalab.net/articles/663
借入後の工務店利益倍増計画⑥(固定費のその他)
https://chikalab.net/articles/676
必要な利益から逆算した根拠ある粗利目標
さて、根拠ある粗利目標は、前回までに説明してきた「必要な利益」と「想定される固定費」を足すことで算出できます。
計算式だと以下の通りです。
【粗利目標=固定費(人件費+その他)+利益目標】
また、過去の粗利率を基準にすれば、売上目標を算出できます。
【売上=粗利÷粗利率】
ブロックパズルだと赤色の箇所です。
ちなみに変動費は原価で、外注費や材料費です。
粗利目標2500万円での具体例
例えば(現実にはあまり有り得ませんが)、分かりやすいように企画住宅1種類のみで目標を達成するとします。
価格:2000万円(税別)
原価:1500万円
粗利:500万円
粗利率:25%
仮に1年間の粗利目標が2500万円だとしたら、
【粗利2500万円/年÷粗利500万円/棟=5棟/年】
が引渡しの棟数目標になります。
ここでご注意いただきたいのが、契約棟数でなく売上として計上できる引渡し棟数だということです。
今期は棟数に達しそうにない工務店の方、これから新築を始めるリフォーム店の方は、次年度以降の棟数目標として事業計画に盛り込んでみてはいかがでしょうか。
物件毎と時間軸で計測
物件毎に粗利率が異なる新築やリフォームは、簡単には計画通りにいかないので、物件毎に粗利を把握し、過去・現在・未来で計測する必要があります。
実行予算や原価管理が重要だと言われる理由もここにあります。
下図は、粗利目標2500万円に対して、過去・現在・未来で計測するイメージ図です。
時間軸だと、工事完了分は過去、仕掛・受注分は現在、不足分の見積案件は未来です。
特に仕掛・受注分は実行予算を組み、各社と発注契約を結ぶことで、予算を超えないようにできるわけですが、発注業務が追いついていない、もしくは割愛している工務店が多いと感じます。
最初に粗利目標というゴールを決めても、予算通りの粗利を残すことは容易ではありません。しかし、ゴールなしだと尚更難しいのではないでしょうか。
事前に決める事は窮屈に感じるかもしれませんが、段取り強化や手戻り防止に良い影響を与えるはずです。
さらに、現時点での粗利の不足分を把握できれば、営業活動など行動の量と質が高まります。
例えば、期末まで残り3か月になると、新築を受注しても来期の売上になります。それはそれで必要なことですが、そうなると短期勝負のリフォームか、完成しているモデルハウスや建売の販売しか手はありません。
実際、それに沿った計画でOB客にDMを送り、リピート受注で数字を達成した工務店もあります。
数字に向き合うのが好きな方は少ないでしょうし、現実を見ると嫌になるかもしれませんが、現状把握は思考と行動が変わるきっかけになります。
次回はシリーズの最終回で、『売上目標』の深堀と細分化する考え方についてお伝えします。
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