「つくるプロセス=生産工程」の具体 ~「1.集客」~

2021/04/2811:53372人が見ました

こんにちは。

ひと・住まい研究所の辻󠄀です。

前回の記事から少し時間が空いてしまいましたが、今回で連載の9回目となります。前回で想定している連載内容の前半が終わり、今回から後半戦に入ります。

今までは「つくるプロセス=生産工程」を総論的に解説してきましたが、今回からは私自身の経験に基づいた「具体例」を示しながら、その詳細に迫っていきたいと思います。

過去の記事のリンク先を掲載しておきますので、併せてお読みください。

・連載①「コロナ禍の今だからこそ、工務店としての軸をつくる|

・連載②コロナ禍の今だからこそ、工務店としての軸をつくる②|

・連載③工務店における「つくるプロセス=生産工程」のあり方|

・連載④「つくるプロセス」は、顧客に選ばれるための重要なコンテンツとなる|

・連載⑤自社スタイルの核となる「つくるプロセス」を確立する手順①

・連載⑥自社スタイルの核となる「つくるプロセス」を確立する手順②|

・連載⑦自社スタイルの核となる「つくるプロセス」を確立する手順③|

・連載⑧「つくるプロセス」を深める2つの存在|

 

「つくるプロセス」の全体フロー

まずは「つくるプロセス」の全体フローの一例を記載しておきます。このフローは私が工務店在職時に取組んでいた内容をベースにしたものです。オーソドックスな内容なので、注文住宅をメインとしている工務店であれば、さほど大きな違いはないと思います。

連載の3回目(chikalab.net)で掲載した「4つの工程」を細分化して、「9つの小工程」で構成しています。実際に自社の「つくるプロセス」を構築していくには、この小工程ごとの現状を見直し、そこに「自社らしさ」を組み込んでいくことになります。その詳細については、こちらを参照してください(chikalab.net)

ここから上記の小工程ごとの作業項目や手順などの具体例を、ポイントを解説しながら紹介していきたいと思います。

 

1.集客

「説明・同意工程/広報・営業」の最初の工程です。自社およびその家づくりのことを、一般の顧客に広く「認知」してもらう工程と考えてください。「顧客を顕在化する」ための準備工程と言ってもいいかもしれません。

この工程におけるポイントは、まずは「対象としたい顧客層を明確にする」ということです。そして次にその顧客層に対して「ちゃんと伝わる」ことを意識して情報発信することにあります。

その際、顧客から「自社がどう見られたいか」という意識を常に持って情報発信することが重要で、「自社らしさ」をちゃんと表現するためには欠かせないことです。

この「集客」から始まる「説明・同意工程/広報・営業」は他の工程とは違い、作業項目や手順などの流れが画一的ではありません。なので、少々一般的な内容になるかもしれませんが、ここでは情報発信先として考えられる媒体をピックアップしながら、その活用ポイントや備えておきたいツールなどをまとめてみようと思います。

 

ホームページ

・「集客」のもっとも基本となる媒体で、自社と顧客をつなぐWEB上における「拠点」としての役割を果たしたいところ

・ホームページの来訪者に対して、「資料請求」や「イベント申込み」といった形で「顕在化させる」ことが具体的な目標となる

・自社および家づくりのことを、ちゃんと整理された内容で表現することが大切

・新築の事例に加えて「オーナーさんの暮らしぶり」を掲載できると、他社との差別化を図る上で効果的

 

ブログ・SNS(Facebook・Instagram・YouTubeなど)

・誰でも手軽に使える無料の媒体なので活用しない手はない

・各媒体の特性を活かした情報発信を意識し、ホームページとの連携性を高めて効率的に認知拡大を狙いたい

・広告掲載(有料)も検討の価値あり

・YouTubeなどの動画は、自社の家づくりのコンセプトや特徴を細分化して、テーマ性をもって発信したいところ

 

建築現場

・「魅せる現場」を意識して、街角のモデルハウスとして最大活用する

 

折込チラシ・誌面広告(新聞・ミニコミ誌など)

・自社イベント(建物見学会など)の告知などに適している

・掲載写真のクオリティや全体デザインなど、「顧客の目に留まる」ことに注力したい

 

雑誌・書籍

・自社の認知を幅広く狙う場合に適している

・住宅系の雑誌の場合、地域の競合他社の掲載が少ない「全国誌」に、あえて掲載するのもよい

・自社が掲載されているものを「図書館」へ寄贈し、そこを情報発信拠点として活用するのも面白い

 

街頭看板・社有車広告

・「一押しの事例写真」と「キャッチコピー」を用いて自社イメージをアピールし、ホームページへの誘導を狙う

・特に社有車は商圏内を駆け回っているので、その認知効果に期待できる

 

それぞれの媒体の特性を理解した上で、情報を発信する必要があります。その際、自社イメージを表現するための「事例写真」や「キャッチコピー」などを含めたデザインコードは、統一性を持たせた方が相乗的な効果を狙いやすいでしょう。

また工程専任者(広報担当者)を置くと表現などが統一しやすい上に、情報発信も計画性をもって行えるようになるため検討する価値は大いにあると思います。私の関連している工務店でも、広報業務の経験がある主婦を在宅勤務でパート雇用して、成果を上げているケースも多々あります。

 

次回は「2.初回接客」についてまとめてみたいと思います。

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