「つくるプロセス=生産工程」の具体 ~施工①~

2022/08/1111:0291人が見ました

こんにちは。

ひと・住まい研究所の辻󠄀です。

今回からは工務店業務の核となる「施工工程」について、まとめてみたいと思います。

連載の間隔が少し空いてしまっているので、下に「つくるプロセス」の全体フローの事例を改めて掲載しておきます。

「施工工程」を上記のフローでは2つの工程に分けています(7~8)。

今回は「7.着工準備」について、今までと同じくその具体的な事例やポイントなどを中心にまとめていきますので、一例として参考にしてもらえればと思います。

なお、過去の記事のリンク先も掲載しておきますので、ぜひ併せてお読みください。

・連載①コロナ禍の今だからこそ、工務店としての軸をつくる

・連載②コロナ禍の今だからこそ、工務店としての軸をつくる②

・連載③工務店における「つくるプロセス=生産工程」のあり方

・連載④「つくるプロセス」は、顧客に選ばれるための重要なコンテンツとなる

・連載⑤自社スタイルの核となる「つくるプロセス」を確立する手順①

・連載⑥自社スタイルの核となる「つくるプロセス」を確立する手順②

・連載⑦自社スタイルの核となる「つくるプロセス」を確立する手順③

・連載⑧「つくるプロセス」を深める2つの存在

・連載⑨「つくるプロセス=生産工程」の具体 ~「1.集客」~

・連載⑩「つくるプロセス=生産工程」の具体 「2.初回接客~」

・連載⑪「つくるプロセス=生産工程」の具体 ~「設計①」~

・連載⑫「つくるプロセス=生産工程」の具体 ~「設計②」~

 

7.着工準備

先の設計工程でまとめた建築計画の施工をスタートするにあたり、様々な事前準備を行う「施工計画の工程」という位置付けです。

いわゆる「段取りをつける」ための一連の作業であり、昔から「段取り八分」と言われているように、この「間の工程」の存在がとても重要であり、その後の施工工程に及ぼす影響力は大きいと言えます。

よって、「いい家」をコンスタントにつくり続けようとするのなら、この工程をより重要視すべきで、そのことを改めて認識しておく必要があると思います。

業務を分業している工務店の場合、営業・設計から施工スタッフへの引継ぎ的な意味合いが主となります。ポイントは、引き継ぎに必要となる作業項目とそれに対する適切な時間を明確に取決めておくことです。そうすることで、物件ごとの“ムラ”が減り、漏れなくスムーズに行うことができます。

下に本工程において必要だと思われる作業項目及び手順の例をあげてみます。

 

ここでのポイントは、作業項目ごとに小工程として独立させ、その手順とスケジュールを明確にしておくことです。着工までの時間がないとどうしても前後が逆になったり、場合によっては複数の小工程をまとめて処理してしまったりと、1つ1つの小工程の作業が雑になってしまいがちだからです。

また、営業・設計と施工部門の業務上の関係性がうまくいっていない工務店をよく見かけます。お互いの立場や役割からして衝突しやすい側面があるとは思いますが、この「間の工程」に対する捉え方が、その要因の1つになっているケースも多いのではないでしょうか。

工務店によっては、この工程自体がそもそも明確に位置付けられていなかったり、位置付けられていたとしても、着工時期との関係で十分な時間を確保できていないケースなどが見受けられます。そうしたことが、施工担当者の根本的な不満になっていることも多々あり、是正すべきものだと思います。

 

ではここからは今までの記事と同じく、各作業項目の概要とポイントをまとめてみたいと思います。

 

① 各種申請・着工手続き

・着工に際して必要となる法令上の申請及び手続き、補助事業などの申請、各種保険(瑕疵担保責任保険など)および保証への加入手続きなどを実施する。

 

② 社内引継ぎ会

・営業および設計担当者が、工事担当者へ最終の設計図書(契約図面)を渡し、その内容を説明する。

・施主の情報、計画主旨、施工における留意点や設計図書に反映しきれていない「施主からの要望」なども漏れなく伝達する。

 

③ 工事担当者による建設地調査

・設計図書の内容に基づき、施工管理の観点から詳細に渡り現地確認し、施工計画へ反映する。

 

④ 社内着工検討会

・工事担当者が主となり運営する。営業および設計担当者はもちろんのこと、情報共有のために社内スタッフ全員参加としても良い。

・設計図書および建設地調査の内容を踏まえて、施工における質疑や課題をあげ、その対策を協議する。

・実施工程および実行予算を承認する場として位置付けると良い。

・会議内容は物件ごとのばらつきを無くすためにも定型化したほうが良い。

 

⑤ 工事請負契約

・契約書および工事請負契約約款の内容、各種保険(瑕疵担保責任保険など)の重要事項の説明を漏れなく行い、施主の同意を得る。

・昨今の資材価格の高騰から考えると、できるだけ工事着工に近いタイミングで行ったほうが価格見直しへの対応が可能となる。

 

⑥ 近隣あいさつ

・「建築現場は営業拠点である」との意識を持ち、近隣住民に対する配慮を徹底し、その内容自体が「他社との差別化」に繋がるようにしたいところ。

・着工前、建て方前、竣工前の計3回に加えて、騒音などが懸念される工事前にも適宜実施する。

 

⑦ 施主との顔合わせ会

・これは個人的に提案したい項目。施主家族、社内担当者などに加えて、協力業者も出席することがポイント。

・相互交流を図ることによって、協力業者も含めた施工スタッフのモチベーションを上げる効果と、施主の施工に対する不安感を払拭する両方の効果が期待できる。「施主を囲む食事会」として開催しても面白い。

・協力業者の選定がこの時点で完了していることが前提となるため、「事前発注」が徹底され、原価管理上のメリットもある。

・業務を分業している場合は、施主に対して工事担当者への引継ぎの場ともなるので、工事担当者から実施工程表や施工計画書などの資料に基にした施工工程の説明も行うようにしたい。

 

⑧ 地鎮祭

・式典用の説明(草刈りや歩行路などの整地・テントの設営など)には気を配りたい。

 

⑨ 建物配置確認

・建築計画において最も基本的な項目である、敷地(境界杭など)の確認、建物配置や設計GLの確認を施主立会いの元、実施する。地鎮祭と同日に行えると効率的。

 

⑩ 躯体・設備打合せ会

・事務所にて、関連する協力業者(基礎・設備・大工)と合同で実施する事前打合せ。

・施工全般に関する情報を伝達、共有し、質疑や課題などを事前に協議することで、現場での後手の対応を防ぐ。

・会議内容は、物件や担当者によるばらつきを無くすために定型化したほうが良い。

 

以上、今回の記事はここまでです。

次回は、工事着工からの実際の「施工工程」について、まとめてみようと思います。

 

 

 

 

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